【薬剤師が解説】目の奥が痛い・かすむ「デジタル眼精疲労」の本当の原因とすぐできる対策グッズ

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「たっぷり寝たのに、翌朝も目の疲れがとれていない……」

「夕方になるとスマホの文字がぼやけて見えづらい」

「目の重さや痛みに加えて、肩こりや頭痛まで気になってきた」

デジタル機器を長時間使う生活では、このような目の不調を経験する人は少なくありません。日々の相談業務のなかでも、同様の悩みを抱えている方の声をよく耳にします。

画面を見続けることで生じる目の症状や、頭痛、首・肩の不快感などは、一般に「デジタル眼精疲労(Digital Eye Strain:DES)」と呼ばれます。デジタル眼精疲労は、単一の病気というより、デジタル画面の使用に関連して生じるさまざまな症状をまとめて扱う概念です。

十分な休息や睡眠をとっても症状が改善しない場合には、医学的に「眼精疲労」に該当する可能性があります。ただし、眼精疲労の背景にはドライアイや眼鏡・コンタクトレンズの度数の不適合、老視、斜視・斜位、緑内障など、さまざまな原因が隠れていることがあります。

この記事では、デジタル機器使用に伴う目の疲れについて、医学的に確認されている内容を中心に解説し、日常生活で実践しやすい対策を紹介します。

📌 この記事でわかること

  • 「目の疲れ」と「眼精疲労」の違い
  • デジタル機器使用で起こりやすい目の症状
  • ドライアイやピント調節、両眼視と目の疲れの関係
  • 頭痛・首や肩の不快感が伴うことがある理由
  • 今日からできるデジタル眼精疲労対策
  • 眼科を受診したほうがよい症状

「目の疲れ」と「眼精疲労」はどう違う?

日本眼科学会によると、眼精疲労とは視作業を続けることで目や全身に症状が生じ、休息や睡眠をとっても十分に回復しない状態を指します。具体的な症状には、眼痛、かすみ、まぶしさ、充血のほか、頭痛や肩こり、吐き気などがあります。

一方、長時間の読書やパソコン作業などによって一時的に目が疲れ、休憩すると改善する場合もあります。

したがって、「一晩寝ても毎日のように症状が残る」という場合は、単なる一時的な疲れとして放置せず、眼科で原因を確認することが大切です。

なお、「休んでも改善しない=デジタル眼精疲労」と決まるわけではありません。眼精疲労の原因は多岐にわたり、ドライアイや屈折異常、老視、斜視・斜位などの眼の状態が関係していることもあります。

🔍 こんな症状がありませんか?

  • 目が重い、疲れる、しょぼしょぼする
  • 目が乾く、ゴロゴロする
  • 画面を見ていると目がかすむ
  • 近くから遠くへ視線を移したときにピントが合いにくい
  • まぶしさを感じる
  • 涙が出る
  • 目の痛みや不快感がある
  • 画面を見ると頭痛がする
  • パソコンやスマートフォンの使用後に首・肩がつらくなる
  • 休息や睡眠をとっても症状が繰り返す

これらはデジタル眼精疲労でみられることのある症状ですが、同じ症状が別の眼疾患でも起こるため、セルフチェックだけで原因を判断することはできません。

なぜデジタル機器を見ると目が疲れるの?

デジタル眼精疲労には、ひとつの原因だけではなく、近距離での視作業、ピント調節、両眼視、まばたき、涙液、姿勢、画面の明るさや反射など、複数の要因が関係します。

📱 1.近距離作業によるピント調節への負担

近くを見るときには、眼の中にある毛様体筋が働き、水晶体の形を変化させてピントを合わせます。

スマートフォンなどを近距離で長時間見続けると、ピント調節を繰り返すことになります。その結果、画面から視線を外した直後に遠くへピントを合わせにくい、ぼやけて見えるといった症状が生じることがあります。

インターネットなどで「スマホ老眼」という言葉が使われることがありますが、これは医学的な正式病名ではありません。加齢による老視とは異なるため、症状が続く場合には自己判断せず、屈折異常や調節機能などを眼科で確認することが重要です。

👀 2.両眼視・輻輳(ふくそう)への負担

近くの物を見るとき、左右の眼は内側へ向く輻輳(ふくそう)という運動を行います。近距離での画面作業では、このような調節や両眼視の機能が継続的に必要になります。

人によっては、こうした負担によって目の疲れ、ぼやけ、頭痛、物が二重に見えるなどの症状が出ることがあります。

なお、「スマートフォンを長時間見ると誰でも寄り目が固定される」という説明には十分な根拠がありません。スマートフォン使用と急性後天性内斜視との関連を示唆する報告はありますが、原因や発症機序については現在も研究が続いています。特に急に物が二重に見える、目の位置がずれて見えるといった症状は、単なる目の疲れと決めつけず眼科を受診してください。

💧 3.まばたきの変化とドライアイ

読書や画面作業など集中して近くを見る作業では、自然なまばたきの回数や、まぶたが十分に閉じる完全瞬目が変化することがあります。

研究では、読書中は会話や歩行時と比べてまばたきの頻度が低下することが報告されています。また、デジタル環境では不完全なまばたきが増えることもあり、涙液の安定性に影響する可能性があります。

そのため、長時間の画面作業では「意識してまばたきをする」「定期的に画面から目を離す」といった工夫が重要です。

なお、「画面を見ると必ずドライアイになる」という意味ではありません。ドライアイには、涙の量だけでなく、涙液の蒸発、マイボーム腺機能、眼表面の状態など複数の要因が関係します。

目の疲れは頭痛や首・肩の不快感につながることも

デジタル眼精疲労で問題になるのは、目の症状だけではありません。

デジタル画面を長時間見る人では、目の疲れ、かすみ、乾燥などに加えて、頭痛、首や肩の痛み・不快感などがみられることがあります。

これは、画面を見るときの視覚的負担だけでなく、長時間同じ姿勢をとること、画面を見る角度、机や椅子の高さ、視力矯正の状態など、複数の要因が関係すると考えられています。

したがって、「眼精疲労によって自律神経が乱れ、それが全身の筋肉を緊張させて肩こりを起こす」と単純に説明することは適切ではありません。症状がある場合は、目だけでなく姿勢や作業環境も一緒に見直すことが大切です。

今日からできるデジタル眼精疲労対策

デジタル機器を完全に使わない生活は難しいため、画面の使い方と作業環境を調整することが現実的です。

1.定期的に画面から目を離す

長時間連続して画面を見続けるのではなく、こまめに休憩を入れましょう。

実践方法の一例として、いわゆる「20-20-20ルール」があります。20分ごとに20秒程度、20フィート(約6m)以上離れた場所を見る方法です。

これはデジタル眼精疲労対策として広く紹介されている方法の一つですが、すべての人に一定の効果が保証されている治療法ではありません。重要なのは、長時間連続して近距離作業を続けないことです。

2.まばたきを意識する

画面に集中していると、まばたきが減ったり不完全になったりすることがあります。

特に目の乾燥を感じる場合は、画面を見続ける合間に意識してゆっくりまばたきをすることを心がけましょう。

エアコンの風が直接目に当たる環境では、涙が蒸発しやすくなることもあるため、風向きを調整することも対策になります。

3.画面・文字・姿勢を調整する

  • 小さすぎる文字を無理に読まない
  • 画面の反射やまぶしさを減らす
  • 周囲と画面の明るさの差が大きくなりすぎないようにする
  • 長時間同じ姿勢を続けない
  • モニターやスマートフォンを無理な角度で見続けない
  • 眼鏡やコンタクトレンズの度数が合っているか確認する

デジタル眼精疲労では、画面を見る時間だけでなく、作業環境や姿勢なども症状に影響します。

4.目元を温める方法も選択肢

目の乾燥やまぶたの縁の不快感が気になる場合、温かいタオルや市販のアイマスクなどを使った温罨法(温かいものをまぶたに当てるケア)が選択肢になることがあります。

特に、涙の蒸発を防ぐ油分を分泌するマイボーム腺の機能が低下している場合、温罨法はマイボーム腺機能障害(MGD)に対するセルフケアの一つとして用いられています。

ただし、温めればすべての眼精疲労やドライアイが改善するわけではありません。2025年の系統的レビュー・メタ解析では、まぶたを温めるデバイスについて一部の症状や涙液安定性の改善が報告された一方、全体として効果の程度には限界があり、さらなる研究が必要とされています。

使用する場合は、熱すぎるものを直接まぶたに当てないよう注意してください。強い熱感や痛みを感じた場合は使用を中止しましょう。

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温熱による目元のリラクゼーションを目的とする製品には、使い捨てタイプや繰り返し使用できるタイプがあります。購入する場合は、温度、安全性、使用時間、肌への刺激などを確認しましょう。

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EMS搭載の目元デバイスは「治療目的」と考えない

市販の目元用デバイスには、温熱機能や電気刺激(EMS)などを搭載した製品があります。

電気刺激によって筋肉を収縮させること自体はEMSの基本的な作用ですが、「EMSによって眼精疲労が改善する」「目の奥の疲れが取れる」と一般化できる十分な臨床的根拠は、現時点では確認できません。

眼輪筋への電気刺激については、少人数を対象とした研究で美容目的の評価が行われていますが、これは眼精疲労の治療効果を証明した研究ではありません。

したがって、EMS搭載製品を日常に取り入れる場合は、あくまで「リラクゼーションや美容目的のデバイス」と考え、眼精疲労やドライアイの直接的な治療効果を期待するものではない点に注意しましょう。

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購入を検討する場合は、製品の使用目的、電気刺激の強さ、安全上の注意事項、使用禁止部位などを必ずメーカーの説明書で確認してください。

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首・肩のつらさは姿勢や作業環境も見直そう

パソコンやスマートフォンを長時間使用するときは、目だけでなく首や肩にも負担がかかることがあります。

デジタル眼精疲労に伴って首や肩の不快感がある場合は、目元だけをケアするのではなく、姿勢、机や椅子の高さ、画面の位置、休憩の取り方も見直してみましょう。

首や肩のリラクゼーションを目的としたケア用品を取り入れるのも一つの方法です。ただし、これらは医療機器ではないため、「目の疲れが治る」といった効果を期待するものではありません。

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首や肩のリラクゼーションを目的として使用する場合は、製品の対象部位や使用方法を確認し、安全に使用しましょう。

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ブルーライトはどう考えればいい?

デジタル機器の記事では「ブルーライトが眼精疲労の原因」「ブルーライトが不眠を起こす」といった説明を見かけることがあります。

しかし、デジタル眼精疲労について、ブルーライトだけを主要な原因とすることは適切ではありません。デジタル眼精疲労には、近距離作業、まばたき、涙液、屈折異常、両眼視、画面の反射や明るさ、姿勢など、さまざまな要因が関係しています。

また、夜間の光曝露と睡眠・概日リズムの関係については研究がありますが、一般的なデジタル眼精疲労対策としてブルーライトカット製品を必須とするだけの十分な根拠はありません。

睡眠が気になる場合は、ブルーライトだけに注目するのではなく、就寝前のスマートフォン使用時間そのものを短くする、寝室を暗くする、就寝・起床時刻を整えるなど、睡眠衛生全体を見直すことが現実的です。

こんな症状があるなら自己判断せず眼科へ

目の疲れだと思っていても、別の眼疾患が原因となっている場合があります。特に以下の症状がある場合は、自己判断でデジタル眼精疲労と決めつけず、眼科を受診してください。

  • 急に視力が低下した
  • 急に物が二重に見える
  • 強い眼痛がある
  • 目の痛みと充血がある
  • 視野が欠けた
  • 光がチカチカする、急に飛蚊症が増えた
  • 吐き気や嘔吐を伴う強い眼痛・頭痛がある
  • 症状が長期間続く、または徐々に悪化している

日本眼科学会も、強い眼痛、充血、嘔吐、視力低下などを伴う場合には早めの眼科受診を勧めています。

まとめ

  • デジタル機器の長時間使用では、目の疲れ、かすみ、乾燥、頭痛などさまざまな症状が起こることがある
  • 休息や睡眠をとっても十分に改善しない状態は、日本眼科学会が説明する「眼精疲労」に該当する可能性がある
  • 眼精疲労の原因はデジタル機器だけではなく、ドライアイ、眼鏡の度数、老視、斜視・斜位など多岐にわたる
  • 長時間の連続作業を避け、定期的に画面から目を離すことが大切
  • まばたき、画面の明るさや反射、文字サイズ、姿勢、作業環境も見直す
  • 温罨法は、特にマイボーム腺機能障害に関連するドライアイのセルフケアの一つとして検討できる
  • EMS搭載デバイスについては、眼精疲労の治療・改善効果を期待して使用するのではなく、製品の使用目的と注意事項を確認する
  • 急激な視力低下、強い眼痛、複視、視野異常などがある場合は早めに眼科を受診する

デジタル機器は、仕事や学習、日常生活に欠かせない存在になっています。大切なのは、画面を完全に避けることではなく、長時間連続して見続けないこと、適切に休憩すること、作業環境を整えることです。

「寝れば治るはず」と考えているのに症状が繰り返す場合や、視力・見え方に変化がある場合は、セルフケアだけで済ませず、眼科で原因を確認しましょう。

参考文献・参考情報

  • Mataftsi A, et al. Digital eye strain in young screen users: A systematic review. Prev Med. 2023;170:107493. doi:10.1016/j.ypmed.2023.107493.
    PubMed
  • TFOS Lifestyle: Impact of the digital environment on the ocular surface. The Ocular Surface. 2023.
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  • Pang SP, et al. Efficacy of Vectored Thermal Pulsation and Warm Compress Treatments in Meibomian Gland Dysfunction: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Cornea. 2019;38(6):690-697. doi:10.1097/ICO.0000000000001907.
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  • Ballesteros-Sánchez A, et al. Efficacy of eyelid warming devices as first-step treatment in meibomian gland dysfunction: A systematic review with meta-analysis. Ocul Surf. 2025;37:33-46. doi:10.1016/j.jtos.2025.02.008.
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  • Yasui Y, et al. Electrical stimulation of the lower eyelid orbicularis oculi muscle improves periocular dark circles. Skin Res Technol. 2024;30(4):e13678. doi:10.1111/srt.13678.
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  • Acute acquired comitant esotropia: Current understanding of its etiological classification and treatment strategies. 2025.
    PubMed
  • 【免責事項・ご注意】

    本記事は、デジタル機器使用に伴う目の疲れや眼精疲労について一般的な情報を提供することを目的としています。特定の疾患の診断、治療、予防を目的としたものではありません。

    眼精疲労の原因は多岐にわたり、ドライアイ、屈折異常、老視、斜視・斜位、緑内障などの眼疾患が関係する場合があります。症状が続く場合、視力や見え方に変化がある場合、また強い眼痛、急激な視力低下、複視、視野異常などがある場合は、自己判断せず眼科を受診してください。

    本記事で紹介する温熱・EMS等の製品は、製品ごとに使用目的、性能、適応、注意事項が異なります。購入・使用する際は各製品の表示および取扱説明書を確認してください。本記事では、医療機器として承認・認証された製品であることを前提とした治療効果を示しているものではありません。

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