【薬剤師視点でみる】子どもが片付けられないのは脳の発達段階のせい?誤飲事故を防ぐ整理整頓習慣化ステップ

子育て

【広告に関する表記】本記事はアフィリエイトプログラム(Amazonアソシエイト)による収益を含みます。記事内の健康・安全に関する情報は、公的機関の資料および公表された学術研究をもとに作成しています。発達には個人差があり、本記事は診断や個別の医学的判断を目的としたものではありません。

「何度言ってもおもちゃを片付けない」

「部屋が散らかっていてイライラする」

子育て中には、こうした悩みを抱えることがあります。

子どもの片付けには、単なる「しつけ」だけではなく、実行機能と呼ばれる認知機能も関係しています。実行機能には、目標に向かって行動を調整するための抑制、ワーキングメモリ、認知的柔軟性などが含まれ、幼児期から発達していきます。

一方で、家庭内の整理整頓にはもう一つ重要な役割があります。それは、医薬品やボタン電池など、子どもが口に入れると危険なものを子どもの手の届かない場所に管理することです。

本記事では、子どもの「片付けにくさ」を実行機能の発達という観点から考えるとともに、薬剤師の視点から、家庭内で特に注意したい誤飲事故の予防策を解説します。

子どもが片付けにくい理由には「実行機能」も関係する

実行機能(Executive Functions)は、目標に向かって行動を調整するための認知機能の総称です。代表的な中核機能として、抑制、ワーキングメモリ、認知的柔軟性が挙げられます。

心理学・神経科学のレビューでは、実行機能は幼児期から発達し、年齢とともに変化していくことが示されています。片付けでは、「何を片付けるか覚える」「別の遊びに気を取られず作業を続ける」「途中で方法を切り替える」など、複数の能力を使います。

そのため、幼児に対して「片付けなさい」とだけ伝えても、本人にとっては「何から始めればよいのか」「どこへ戻せばよいのか」が分かりにくい場合があります。

大切なのは、「できない」と決めつけることではなく、子どもが行動しやすいように、指示や環境を具体化することです。

「片付けなさい」より具体的な指示を

例えば、「全部片付けて」ではなく、「まずブロックを箱に入れよう」のように、最初の行動を具体的にすると取り組みやすくなります。

さらに、「ブロックを箱へ入れる」→「次に電車を棚へ戻す」のように、一つずつ区切って伝える方法もあります。これは、子どもが同時に保持する情報量を減らし、行動を始めるきっかけを明確にする工夫です。

薬剤師からの重要ポイント:片付け以上に大切なのは「危険なものを放置しない」こと

子どもの片付け習慣を育てることは大切ですが、誤飲事故を防ぐために、子ども自身が片付けられるようになることを待つ必要はありません。

医薬品やボタン電池など、少量でも重い健康被害につながる可能性があるものは、保護者が責任をもって管理する必要があります。

医薬品による誤飲事故は1~2歳に集中

厚生労働省・消費者安全調査委員会の資料では、子ども本人による医薬品等の誤飲事故764件のうち、1~2歳が549件(71.9%)を占めていました。また、3歳未満では6か月~1歳5か月と1歳6か月~2歳5か月に二峰性が認められています。

この時期は、手にしたものを口に入れる行動がみられる一方、自分で容器や包装を操作できる能力も発達していきます。子どもの発達段階に応じて、保管方法を見直すことが重要です。

特に注意したい医薬品

消費者庁は、向精神薬、気管支拡張剤、高血圧の薬、糖尿病の薬などについて、体格の小さな子どもでは重い中毒につながる可能性があるとして注意を呼びかけています。

したがって、医薬品は単に「高い場所」に置くだけではなく、子どもの目に触れにくく、手が届かず、必要に応じて鍵をかけられる場所で管理することが重要です。

消費者庁は、子どもが踏み台などを使って高い場所にある医薬品を取り出した事故も紹介しており、「高いところに置けば安全」とは限りません。

「使った後に戻す」ことも重要

医薬品誤飲事故では、医薬品が通常の保管場所ではなく、「服用のため」や「保管場所への戻し忘れ」などの理由で置かれていたケースが報告されています。

薬を使用した後は、「あとで戻そう」とせず、その場ですぐ安全な保管場所へ戻すことが重要です。

ボタン電池にも注意

ボタン電池の誤飲も、乳幼児では特に注意が必要です。消費者庁の事故情報では、平成22年4月から平成26年3月末までに把握された93件のうち、1歳児が54件(約58%)と最も多くなっていました。

ボタン電池は、子どもが触れない場所に保管するとともに、電池を使用する製品についても、電池ぶたが容易に開かないかを確認しましょう。使用済みの電池を放置しないことも重要です。

誤飲が疑われたら「片付け」より先に専門機関へ

子どもが医薬品や家庭用品などを誤飲した可能性がある場合、自己判断で吐かせることは避けてください。誤飲した物質によって応急処置が異なるためです。

何を、いつ、どのくらい飲んだ可能性があるのかを確認し、製品の容器や包装、薬の名称が分かるものを手元に用意して専門機関へ相談しましょう。

公益財団法人日本中毒情報センターの「中毒110番」は、実際に中毒事故が発生した場合に利用できる一般向け相談窓口です。

  • 大阪中毒110番:072-727-2499
  • つくば中毒110番:029-852-9999
  • 一般向け・365日24時間対応・情報提供料無料

意識や呼吸の状態がおかしい、けいれんがあるなど、緊急性が高い場合は、相談を待たず救急要請が必要です。

片付け習慣は「年齢に合わせて小さく始める」

ここから紹介する方法は、医学的に定められた「年齢別の片付け基準」ではありません。子どもの発達や家庭環境には個人差があるため、あくまで家庭で取り入れやすい実践例として考えてください。

1~2歳:まずは「入れる」を経験する

この時期は、大人が片付ける姿を見せながら、子どもには最後の1個を箱に入れてもらうなど、簡単な行動から始める方法があります。

「できたね」「箱に入れられたね」と、具体的な行動を言葉にして認めることもできます。

3~4歳:種類を分けてみる

「ブロックはこの箱」「電車はこの棚」のように、戻す場所をできるだけ単純にすると、子どもが判断しやすくなります。

文字を読むことが難しい場合には、収納場所に写真やイラストを貼る方法もあります。

5~6歳:子ども自身に選ばせる

「ブロックと電車、どちらから片付ける?」のように、選択肢を限定して子ども自身に決めてもらう方法があります。

タイマーなどを使ってゲーム感覚にする方法もありますが、「時間内に終わらなければ失敗」という形にせず、楽しみながら取り組むことを意識しましょう。

小学生:自分で管理できる仕組みを作る

小学生になると、学校のプリントや学用品など、管理する物が増えていきます。

例えば、「保護者に渡すプリント」の専用トレーを用意し、帰宅したらそこへ入れるというルールにすると、行動を単純化できます。

片付けを助ける「見える収納」

子どもが自分で片付けやすくするには、「どこに戻すのか」が分かりやすい環境を作ることがポイントです。

1. ラベリングする

収納ボックスに文字やイラストを付けて、入れる場所を分かりやすくします。文字が読めない年齢では、写真やイラストを使う方法もあります。

ラベルライターなどを利用すれば、収納場所を親子で簡単に表示できます。

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2. 片付けの動作を少なくする

子どもが毎回、扉を開ける、引き出しを開ける、ふたを外すといった複数の操作を必要とする収納よりも、簡単に戻せる収納の方が使いやすい場合があります。

例えば、子どもが日常的に使うおもちゃについては、取り出しやすく戻しやすいオープン収納を検討する方法があります。

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「片付けられる子」を目指すより、「片付けやすい環境」を作る

子どもが片付けられないとき、「どうしてできないの?」と叱るだけでは、問題が解決しないことがあります。

実行機能は発達途上にあり、幼児期には「何をするのか」「どこへ戻すのか」「次に何をするのか」を大人が具体化することで、行動しやすくなる場合があります。

そして、安全面では、子どもの片付け能力に頼るのではなく、医薬品やボタン電池などの危険物は大人が管理することが基本です。

「片付ける習慣」と「危険なものを安全に管理すること」は、似ているようで役割が異なります。子どもには発達に合わせて少しずつ片付けを経験してもらい、大人は安全な環境を先に整える。この二つを分けて考えることが、家庭内事故の予防につながります。

まとめ

子どもの片付けには、抑制、ワーキングメモリ、認知的柔軟性などの実行機能が関係しています。幼児期はこれらの能力が発達している途中であるため、「片付けなさい」とだけ指示するよりも、作業を小さく分け、戻す場所を分かりやすくする工夫が役立ちます。

一方、医薬品やボタン電池の誤飲予防については、子ども自身の片付け能力に任せるのではなく、子どもの目や手の届かない場所で保管し、必要に応じて施錠することが重要です。

片付けの目的を「部屋をきれいにすること」だけにせず、子どもが自分で行動しやすい環境づくりと、安全な家庭環境づくりの両方から考えてみましょう。


参考文献・出典

  1. Diamond A. Executive Functions. Annual Review of Psychology. 2013;64:135-168. doi:10.1146/annurev-psych-113011-143750.
  2. Giedd JN, et al. Brain development during childhood and adolescence: a longitudinal MRI study. Nature Neuroscience. 1999;2:861-863. doi:10.1038/13158.
  3. 厚生労働省「家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告(平成25年度)」。
  4. 消費者安全調査委員会「子供による医薬品誤飲事故」平成26年12月。
  5. 消費者庁「Vol.639 医薬品の誤飲事故 ― 手が届く場所・見える場所に置いていませんか?」。
  6. 消費者庁「令和2年度 子どもの事故防止調査(ボタン電池誤飲)」。
  7. 公益財団法人日本中毒情報センター「中毒110番・電話サービス」。
  8. Lally P, van Jaarsveld CHM, Potts HWW, Wardle J. How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology. 2010;40(6):998-1009. doi:10.1002/ejsp.674.

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的判断に代わるものではありません。誤飲事故が疑われる場合は、誤飲した可能性のある製品や薬の名称・量・時刻などを確認し、医療機関または日本中毒情報センターなどの専門機関へ相談してください。

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