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子育て中のご家庭では、子どもの通院や薬の購入など、医療にかかる費用が気になることもあるのではないでしょうか。「医療費が多くかかった年でも、ふるさと納税はできるの?」「医療費控除を申告すると、ふるさと納税の控除上限額は変わる?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
結論からいうと、ふるさと納税と医療費控除、またはセルフメディケーション税制は併用できます。ただし、医療費控除などを受けるために確定申告をすると、ワンストップ特例制度による申請は無効になります。また、医療費控除によって所得税や住民税の計算が変わり、ふるさと納税の控除上限額にも影響する場合があります。
この記事では、国税庁・総務省・厚生労働省の公表資料をもとに、ふるさと納税と医療費控除を併用する際の注意点、子育て世帯が知っておきたい医療費控除の基本、返礼品を選ぶときのポイントを解説します。
※本記事は2026年10月10日時点で確認できた公的資料をもとに作成しています。個別の税額や適用可否は、所得・控除・自治体の助成制度などによって異なります。申告前には国税庁などの最新情報をご確認ください。
1. ふるさと納税のしくみ
ふるさと納税は、都道府県や市区町村などの自治体に寄附を行い、所定の手続きをすることで、寄附金額のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで所得税の還付や住民税の控除を受けられる制度です。
ただし、寄附額の全額が必ず控除されるわけではありません。控除の対象となる金額や実際の負担額は、所得や各種控除、寄附額などによって異なります。
基本的なポイントは次のとおりです。
- 控除上限額は、年収だけでなく、家族構成や所得控除などによって変わります。
- 控除上限額を超えて寄附した場合、超過分は原則として控除されません。
- 控除を受けるための主な手続きは、確定申告とワンストップ特例制度です。
- 確定申告をする場合は、ワンストップ特例を申請済みの寄附も含め、寄附金控除を申告する必要があります。
制度の詳細は、国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」でも確認できます。
2. 2025年・2026年の制度変更で知っておきたいこと
ポータルサイトによるポイント付与の禁止
ふるさと納税では、総務省による指定基準の見直しにより、2025年10月1日から、寄附に伴ってポイント等を付与する者を通じた募集が禁止されています。
そのため、ポータルサイトを選ぶ際は、寄附に伴うポイント還元だけを基準にするのではなく、返礼品の内容、寄附金の使い道、申込みのしやすさ、必要な情報の確認しやすさなどを比較するとよいでしょう。
制度の詳細は、総務省のふるさと納税に関する案内で最新情報をご確認ください。
2026年10月以降の返礼品の基準にも注意
ふるさと納税の返礼品には、総務省が定める地場産品基準などの要件があります。基準や運用の見直しにより、自治体が取り扱う返礼品の内容やラインナップが変わる可能性があります。
気になる返礼品がある場合は、寄附を申し込む前に、自治体やポータルサイトで提供状況、内容量、発送時期などを確認しましょう。制度変更の適用時期や個々の返礼品への影響は、総務省の最新の告示・通知・Q&Aで確認することが重要です。
3. 医療費控除とふるさと納税を併用するときの3つの注意点
① 医療費控除を受けるには確定申告が必要
医療費控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。確定申告をすると、事前に提出したふるさと納税のワンストップ特例申請は無効になります。
そのため、医療費控除を申告する場合は、ワンストップ特例を申請した自治体への寄附も含め、すべてのふるさと納税の寄附金控除を確定申告に記載してください。
ワンストップ特例の申請を取り消すために、別途、取り消しの手続きをする必要はありません。ただし、確定申告書にふるさと納税の記載を忘れると、適切な控除を受けられない可能性があります。
詳しくは、国税庁「ふるさと納税(寄附金控除)」をご確認ください。
② 医療費控除によって、ふるさと納税の控除上限額が変わることがある
医療費控除は、所得税の計算上、所得から一定額を差し引く所得控除です。医療費控除を適用すると課税所得などが変わるため、所得税や住民税の額、ふるさと納税の控除上限額にも影響する場合があります。
ただし、控除上限額が必ず一定割合で下がるわけではありません。所得税率、住民税所得割額、ほかの所得控除、寄附額などによって結果が異なります。医療費控除の金額だけから、ふるさと納税の上限額の変化を一律に計算することはできません。
寄附額を決めるときは、医療費控除を考慮できるシミュレーターを利用し、収入や家族構成、各種控除をできるだけ正確に入力しましょう。簡易シミュレーターは概算であり、最終的な控除額を保証するものではありません。
医療費が多くかかった年は、前年までと同じ寄附額が適切とは限らないため、控除上限額を再確認してから寄附することをおすすめします。
③ 医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方を選ぶ
医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらもふるさと納税と併用できます。ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制を同じ年に併用することはできません。どちらか一方を選択して申告します。
| 項目 | 通常の医療費控除 | セルフメディケーション税制 |
|---|---|---|
| 控除の対象 | 対象となる診療費、治療費、医薬品購入費など | 制度の対象となる特定一般用医薬品等の購入費 |
| 控除額の計算 | 対象医療費の合計額-保険金などの補てん額-10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%) | 対象医薬品等の購入費-保険金などの補てん額-12,000円 |
| 控除額の上限 | 200万円 | 88,000円 |
| 適用条件 | 対象となる医療費を一定額以上支払っていることなど | 対象医薬品等の購入に加え、健康の保持増進・疾病予防のための一定の取組を行っていること |
| ふるさと納税との併用 | 可能。確定申告が必要 | 可能。確定申告が必要 |
上記の計算式は、2026年分についての現行制度を基本としたものです。通常の医療費控除では、控除額は最高200万円です。セルフメディケーション税制では、対象となる購入費から補てん額と12,000円を差し引き、控除額は88,000円が上限となります。
セルフメディケーション税制は、2026年度税制改正に伴い対象範囲などの見直しが進められており、2027年1月施行の変更があります。2026年分の申告と2027年以降の申告でルールを混同しないよう、厚生労働省「セルフメディケーション税制について」で対象品目や適用時期を確認してください。
なお、いずれの控除も、所得税や住民税が必ず同額だけ減る制度ではありません。所得控除額と、実際に軽減される税額は異なります。
4. 子育て世帯が知っておきたい医療費控除のポイント
家族の医療費を合算できる場合がある
医療費控除では、納税者本人だけでなく、自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った対象医療費も、一定の条件のもとで合算できます。
子どもの通院費や薬代なども、実際に支払った金額が対象要件を満たせば、医療費控除の計算に含められる場合があります。ただし、家族であれば誰が支払っても自由に合算できるわけではなく、生計関係や実際の支払者などを確認する必要があります。
通院の交通費は、条件を満たせば対象になる
診療や治療を受けるために直接必要な通院費は、医療費控除の対象となる場合があります。電車やバスなどの公共交通機関を利用した費用が代表例です。
交通費の領収書が手元にない場合でも、通院日、利用区間、交通手段、金額などを記録しておくと、医療費控除の明細を作成するときに役立ちます。
一方、自家用車のガソリン代や駐車料金は原則として対象外です。タクシー代も通常は対象外ですが、公共交通機関を利用できない場合など、事情によって認められることがあります。
市販薬は、購入しただけで必ず対象になるわけではない
市販薬の購入費は、治療や療養に必要な医薬品であれば、通常の医療費控除の対象になる場合があります。ただし、健康増進や病気の予防などを目的に購入したものが、すべて対象になるわけではありません。
また、セルフメディケーション税制では、対象品目として指定された医薬品等の購入費が対象となります。一般用医薬品であればすべて対象になるわけではないため、購入時のレシートや厚生労働省の対象品目一覧を確認しましょう。
子ども医療費助成や高額療養費などの扱いに注意
医療費控除を計算するときは、健康保険の高額療養費、入院給付金など、対象となる医療費を補てんする金額を差し引きます。
子ども医療費助成などを利用している場合も、実際に支払った自己負担額と、後から受け取った助成金などを区別して整理しましょう。助成の仕組みや支給方法によって扱いが異なるため、助成額をどの医療費から差し引くべきかは、自治体や国税庁の案内で確認することが大切です。
なお、補てん額が対象となる医療費を上回った場合、その超過分をほかの医療費から差し引く必要はありません。補てんの対象となった医療費ごとに整理して計算します。
レシートや医療費の記録を保管する
通常の医療費控除では、医療費の領収書などをもとに「医療費控除の明細書」を作成します。領収書は原則として確定申告期限等から5年間、自宅などで保管する必要があります。
セルフメディケーション税制でも、対象医薬品等の購入費を確認できるよう、レシートなどを整理しておきましょう。また、一定の健康診断や予防接種など、健康の保持増進・疾病予防への取組を行ったことを確認できる書類も保管してください。
詳しい条件は、国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」および国税庁「No.1129 セルフメディケーション税制」をご確認ください。
5. 子育て世帯の返礼品選びのチェックポイント
ふるさと納税では、お米、飲料水、ティッシュペーパー、おしりふきなど、日常生活で使う食品や日用品を返礼品として選ぶ方法もあります。家計の支出を見直すきっかけになりますが、寄附はあくまで支出であり、返礼品を受け取ることだけを目的に無理な寄附をするのは避けましょう。
- 容量と保管場所:大容量の商品は、収納スペースや使い切るまでの期間を考えて選びましょう。
- 賞味期限・消費期限:食品は発送時期や内容量を確認し、期限内に使い切れるものを選びます。
- アレルギー表示:子どもに食物アレルギーがある場合は、原材料やアレルゲン表示を確認しましょう。不明点は提供事業者に問い合わせてください。
- 乳児向け食品:1歳未満の赤ちゃんには、はちみつや、はちみつ入りの飲料・お菓子などを与えないでください。通常の加熱調理では、ボツリヌス菌の芽胞を十分に除去できません。
- 肌に触れる製品:おしりふきなどは、対象年齢、使用上の注意、原材料や成分表示を確認し、肌に異常が現れた場合は使用を中止してください。
はちみつに関する注意点は、厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから」でも案内されています。
返礼品を選ぶ際は、通常購入した場合の価格だけでなく、必要な量かどうか、送料を含む通常購入との違い、保管スペース、受取時期なども考慮するとよいでしょう。
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6. 申請の流れと期限
ふるさと納税の控除を受けるための手続きは、確定申告をするかどうかによって異なります。
医療費控除などで確定申告をする場合
- 年収、家族構成、所得控除などを確認し、ふるさと納税の控除上限額を試算します。
- 寄附を行い、寄附金受領証明書などを保管します。
- 医療費の領収書や医療費通知などを整理し、医療費控除の明細書を作成します。
- 確定申告書に医療費控除などを記載するとともに、すべてのふるさと納税の寄附金控除を記載して申告します。
医療費控除を申告する場合、ワンストップ特例の申請を済ませていても、その申請は無効になります。確定申告書にふるさと納税の記載を忘れないようにしましょう。
確定申告をしない場合
確定申告が不要な給与所得者などで、寄附先が5自治体以内であるなどの要件を満たす場合は、ワンストップ特例制度を利用できます。
申請書は、原則として寄附をした翌年の1月10日までに寄附先の自治体へ提出する必要があります。郵送の場合は必着期限に注意し、自治体が案内する提出方法やオンライン申請の条件を確認してください。
なお、ワンストップ特例の申請後に医療費控除などのため確定申告をすることになった場合は、ワンストップ特例の申請分も含めて寄附金控除を申告する必要があります。
申請方法や必要書類の詳細は、国税庁「ふるさと納税(寄附金控除)」および寄附先自治体の案内をご確認ください。
7. 寄附金の使い道にも注目しよう
ふるさと納税では、返礼品だけでなく、寄附金の使い道を指定できる自治体もあります。子育て支援、教育、医療、地域の環境整備など、自治体によってさまざまな選択肢があります。
寄附先を選ぶ際には、返礼品の内容だけでなく、自治体が公表している事業や寄附金の活用実績も確認すると、納得感のある選択につながります。
よくある質問
Q. 医療費控除を申告すると、ワンストップ特例の申請は取り消す必要がありますか?
別途、取り消しの手続きをする必要はありません。ただし、確定申告をするとワンストップ特例の申請は無効になります。ワンストップ特例を申請した分も含め、すべてのふるさと納税の寄附金控除を確定申告書に記載してください。
Q. 医療費が少なかった年でも、ふるさと納税はできますか?
はい。医療費控除を利用しない場合でも、ふるさと納税は可能です。確定申告が不要で、寄附先の数などの要件を満たす方は、ワンストップ特例制度を利用できます。なお、医療費控除を受けるために確定申告をする場合は、医療費の金額が少なくても、申告内容にふるさと納税を含める必要があります。
Q. 医療費控除を使うと、ふるさと納税の上限額は必ず下がりますか?
医療費控除によって課税所得や住民税額が変わるため、ふるさと納税の控除上限額に影響する場合があります。ただし、影響の程度は所得や各種控除などによって異なります。一律の割合で判断せず、医療費控除を反映した条件で試算してください。
Q. 医療費控除とセルフメディケーション税制は両方使えますか?
同じ年に両方を適用することはできません。通常の医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらか一方を選びます。どちらが有利かは、対象となる医療費や医薬品の購入費、所得などによって異なります。
まとめ|医療費控除とふるさと納税は条件を確認して活用しよう
- ふるさと納税は、医療費控除またはセルフメディケーション税制と併用できます。
- 医療費控除などのために確定申告をする場合は、ワンストップ特例の申請が無効になり、ふるさと納税の寄附金控除も申告する必要があります。
- 医療費控除によって、ふるさと納税の控除上限額が変わる場合があります。所得や各種控除を反映して試算しましょう。
- 通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方を選択します。
- 医療費控除では、対象医療費や補てん額、家族の医療費、通院交通費などの条件を確認しましょう。
- 返礼品は、内容量、保管場所、期限、家庭での必要性を考慮して選びましょう。
ふるさと納税は、控除上限額や申告方法を理解して利用することが大切です。医療費が多くかかった年は、前年と同じ寄附額にするのではなく、医療費控除などを考慮して上限額を確認しましょう。
制度の適用可否や個別の税額について不明点がある場合は、国税庁の案内や所轄税務署、税理士などに確認してください。
参考資料
- 国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1155.htm - 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm - 国税庁「No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1129.htm - 国税庁「No.1131 セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1131.htm - 厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html - 総務省「ふるさと納税ポータルサイト」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/ - 総務省「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A」(令和7年6月24日付)
https://www.soumu.go.jp/main_content/001016581.pdf - 厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html
【免責事項】本記事は、税制や制度に関する一般的な情報を提供するものであり、個別の税務相談や税額計算を代替するものではありません。制度は改正されることがあるため、申告前には国税庁・総務省・厚生労働省などの最新資料をご確認ください。具体的な申告については、所轄税務署または税理士にご相談ください。


