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子ども連れの長距離移動では、退屈や疲れ、乗り物酔い、突然の発熱など、予測できない事態への不安がつきものです。事前にしっかりと備えておくことで、親も子も安心して旅行を楽しむことができます。
本記事では、薬剤師の視点から、子ども向けの遊び道具の選び方、飛行機でのフットレスト使用時の注意点、乗り物酔いの基礎知識と市販薬、そして旅行時に確認しておきたい医療の相談窓口についてわかりやすく解説します。
1. 月齢・移動手段に合わせた遊び道具の選び方

長時間の移動では、普段から使っているおもちゃに加えて、子どもが興味を持ちやすい新しい遊び道具をいくつか用意しておくと、退屈対策として非常に役立ちます。
一度にすべてを渡すのではなく、子どもが飽きてきたタイミングで順番に新しいものを出す方法が効果的です。ただし、子どもの年齢や発達段階、好みに合わせて安全なものを選択してください。
飛行機での対策:離着陸時の授乳や水分摂取で不快感を軽減
飛行機では、離着陸時の気圧変化によって耳に不快感が生じることがあります。飲み込む動作には耳管を開く働きがあるため、年齢に応じて授乳や水分摂取などを促す方法が有効です。
ただし、乳幼児に硬い菓子や飴を与える場合は窒息のリスクがあるため注意が必要です。年齢や嚥下機能に適した食品を選びましょう。
新幹線・電車での対策:音の出ないおもちゃで周囲へ配慮
車内では、周囲への影響が比較的小さい遊び道具が適しています。音量が出ない絵本、シールブック、塗り絵、磁石式のおもちゃなどが使いやすいでしょう。
自家用車での対策:おもちゃの配置と視線の工夫
自家用車では、おもちゃを落とした際に運転者が拾おうとして注意がそれるのを防ぐため、必要なものは子どもの手の届く場所にまとめておくと安心です。
また、車内で細かな文字を読んだり、動画やゲーム画面を長時間見続けたりすると、乗り物酔いを誘発しやすくなります。酔いやすい子どもの場合は、前方や遠くの景色を見るよう促す工夫を取り入れましょう。
2. フットレスト・簡易ベッドを飛行機で使うときの注意点

長時間のフライトに向けて、足を置くためのフットレストや子どもの姿勢を楽にする商品が多数販売されています。しかし、市販のフットレストやエアークッションを機内で使用できるかどうかは、航空会社や機材、座席位置などによって扱いが異なります。
ANAやJALの公式サイトでは、一部の座席そのものにフットレストを備えた機材が案内されていますが、これは「乗客が持ち込んだフットレストを自由に使用できる」という意味ではありません。([ANA](https://www.ana.co.jp/ja/jp/guide/flight_service_info/dom-service/premiumclass/seat/?msockid=39d0710ca37a6e430b9b674ba2e76f8e&utm_source=chatgpt.com))
特に、足元を大きく塞ぐタイプや座席に固定するタイプは、緊急時の避難や他の乗客の安全に影響を及ぼす可能性があります。購入前に、利用予定の航空会社および搭乗便で使用可能かを必ず確認してください。搭乗当日は、客室乗務員の指示に従うことが原則です。
3. 乗り物酔いのメカニズムと市販薬

乗り物酔いは、視覚から得られる情報と、内耳にある前庭器官から得られる加速度・姿勢に関する情報に不一致が生じることで引き起こされると考えられています。
医学文献によると、乗り物酔いは2歳未満では比較的まれであり、6~12歳で起こりやすく、9~10歳頃にピークを迎えるとされています。
「3歳未満なら酔わない」と断定するのではなく、子どもの年齢やこれまでの乗り物酔いの経験を踏まえて個別に対策することが大切です。
乗り物酔いを予防する基本的な工夫
- 車では進行方向の景色が見やすい位置に座る
- 細かな文字を読んだり、画面を長時間見続けたりしない
- 睡眠不足や過度な疲労を避けて体調を整える
- 車内の換気をこまめに行い、強いにおいを避ける
- 必要に応じて、事前に市販の酔い止め薬について薬剤師・登録販売者に相談する
子どもに使用できる乗り物酔い薬の例
| 製品名 | 対象年齢 | 剤形 |
|---|---|---|
| センパア プチベリー | 3才~大人 | チュアブル錠 |
| トラベロップQQ G/S | 5才~大人 | ドロップ |
| トラベロップQQゼリー子供用 | 3才~14才 | ゼリー |
上記は2026年9月時点で各メーカーが公開している製品情報に基づく一例です。センパア プチベリーは3才から使用可能です。([大正製薬](https://brand.taisho.co.jp/semper/product/kids/?utm_source=chatgpt.com))
トラベロップQQ G/Sは5才から、トラベロップQQゼリー子供用は3才から使用できます。([株式会社浅田飴](https://www.asadaame.co.jp/medicine/travelop_g.html?utm_source=chatgpt.com))
乗り物酔い薬には抗ヒスタミン成分などが含まれており、眠気が生じることがあります。また、かぜ薬や鼻炎薬などと成分が重複する恐れがあります。対象年齢だけでなく、用法・用量、併用薬、アレルギーの有無などを必ず確認して使用してください。
年齢に満たない子どもに対し、成人用製品を減量して自己判断で与えることは絶対に避けましょう。
4. 旅先の常備薬:小児用解熱鎮痛薬の選び方

アスピリンなどのサリチル酸系薬剤には注意
小児用の解熱鎮痛薬を選ぶ際は、製品の有効成分を確実に確認することが重要です。
特にアスピリンなどのサリチル酸系薬剤は、インフルエンザや水痘(水ぼうそう)などのウイルス感染症に罹患した小児・青少年への使用において、重篤なライ症候群との関連が問題視されています。
「子ども用として販売されているから何でも安全」と考えず、必ず有効成分を確認する習慣をつけましょう。
アセトアミノフェン製剤の用法・用量例
小児には、一般的にアセトアミノフェンを主成分とする製剤が推奨されます。例として「小児用バファリンCII」は、アセトアミノフェンを主成分とする非アスピリン製剤です。
| 年齢 | 1回量 | 服用間隔・回数 |
|---|---|---|
| 11才以上15才未満 | 6錠 | 4時間以上あけ、1日3回を限度 |
| 7才以上11才未満 | 4錠 | 4時間以上あけ、1日3回を限度 |
| 3才以上7才未満 | 3錠 | 4時間以上あけ、1日3回を限度 |
| 3才未満 | 服用しない | — |
小児用バファリンCIIの添付文書では、1錠中にアセトアミノフェン33mgを含み、3才未満は服用しないこと、服用間隔は4時間以上あけることなどが定められています。([Lion Documentation](https://doc.lion.co.jp/uploads/grn/block_content_image/file/1330/Shouniyo_Bufferin_CII.pdf?utm_source=chatgpt.com))
ただし、これはあくまで特定製品の規定です。同じ「バファリン」ブランドであっても、製品によって成分や対象年齢が異なります。購入時には必ず個別の有効成分と添付文書を確認してください。
成人用の製剤を自己判断で分割して子どもに与えることは避け、年齢に適した製品を選びましょう。
5. 旅先で子どもの体調が急変したときの相談窓口

| 窓口 | 主な用途 |
|---|---|
| ♯8000 | 子どもの急な症状について、受診の必要性や家庭での対処方法などを小児科医師・看護師に相談 |
| ♯7119 | 救急車を呼ぶべきか、今すぐ医療機関を受診すべきかなど、救急医療に関する相談 |
| 119 | 生命に関わるなど、緊急に救急車が必要な場合 |
♯8000は全国47都道府県で実施されていますが、相談対応時間は地域によって異なります。旅行先でも利用可能ですが、滞在地域の対応時間を事前に確認しておくと安心です。([厚生労働省](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/newpage_55223.html?utm_source=chatgpt.com))
一方、♯7119は全国共通の制度ではありません。2026年7月時点で消防庁は41地域で実施しているとしています。利用可能地域や対象年齢、受付時間を事前に確認してから利用しましょう。([消防庁](https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html?utm_source=chatgpt.com))
呼吸が苦しい、意識がもうろうとしている、けいれんが続くなど、緊急性が高いと判断した場合は、相談窓口を待たずにただちに119番へ連絡してください。
【医療情報に関する注意】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。子どもに薬を使用する場合は、対象年齢、用法・用量、成分、併用薬などを必ず確認してください。持病がある場合、医療機関で治療中の場合、複数の薬を使用している場合などは、事前に医師・薬剤師・登録販売者にご相談ください。
医薬品の対象年齢・用法・用量などは変更される可能性があります。購入・使用時には、必ず最新の添付文書・製品表示をご確認ください。
参考情報
- 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)」
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)」
- 大正製薬「センパア プチベリー」製品情報
- 株式会社浅田飴「トラベロップQQ G/S」製品情報
- 株式会社浅田飴「トラベロップQQゼリー子供用」製品情報
- ライオン株式会社「小児用バファリンCII」製品情報・添付文書


