「赤ちゃんの肌はモチモチしているから、スキンケアは必要ないのでは?」と思っていませんか?
実は逆で、子どもの肌は大人よりもバリア機能が未熟で、乾燥・紫外線ダメージを受けやすい状態にあることが複数の研究で示されています。
筆者の子供も入浴後の保湿を忘れるとすぐに肌が荒れてしまい、痒そうにしています。
モチモチとした肌を守ってあげられるのは親であるあなたです。
この記事では、薬剤師が子どもの皮膚の科学的な特性を解説しながら、年齢別の正しいスキンケアと日焼け止めの選び方をわかりやすくお伝えします。
子どもの肌が「弱い」のは科学的な事実
子どもの肌が敏感なのは気のせいではありません。複数の査読論文が、乳幼児の皮膚が大人と構造的に異なることを示しています。
①角層が薄く、バリア機能が発達途上
皮膚の最外層である角質層(角層)は外界の刺激や乾燥から体を守るバリアです。新生児・乳幼児の角層は成人より薄く、バリア機能を担うタンパク質構造も発達途上であることが報告されています(Fluhr et al., 2010;Hardman et al., 2021)。
🔬 研究データのポイント
東アジア人乳幼児(3〜24ヵ月)と成人を比較した研究(Liu et al., 2018・PMC6077685)では、乳幼児の角層と表皮が部位によって成人より薄く、経表皮水分損失(TEWL)の値が成人より高かったこと、および乳幼児の皮膚の脱落関連酵素活性パターンが成人と異なることが確認されています。
②セラミド量が少ない
角層のバリアを構成する細胞間脂質の主成分「セラミド」は、乳幼児期には成人より少ない状態にあります。中国人乳幼児(2〜24ヵ月)を対象とした研究(Yuan et al., 2017・PMC5643035)では、乳幼児のセラミド量と皮脂量がいずれも成人(母親)より低く、バリア機能を担う角層成分が発達途上であることが示されています。
③皮膚のpHが成人と異なる
皮膚表面のpHは、抗菌作用と酵素活性の調整に関わります。生後間もない新生児の皮膚はpHが比較的高く(アルカリ寄り)、その後徐々に成人の弱酸性(pH 4.5〜6.5程度)に近づきます。pH環境が異なることで、同じ成分でも子どもの肌への影響が大人と異なる場合があります。
📌 薬剤師からの結論
子どもの肌は「大人の肌の小さいバージョン」ではありません。角層が薄く・セラミドが少なく・pHが異なる「未成熟な状態」にあるため、大人用製品をそのまま使うのではなく、子ども用・低刺激の製品を選ぶことが基本です。
なぜ子どもに紫外線対策が必要なのか

日本小児皮膚科学会は公式Q&Aで、紫外線の過剰曝露による以下のリスクを明示しています。
📋 日本小児皮膚科学会が示す紫外線過剰曝露のリスク(出典:jspd.umin.jp)
- しわ・しみなどの皮膚老化の促進
- 将来的な皮膚がんリスクの上昇
- 目の病気(白内障・翼状片・網膜メラノーマ)のリスク増加
「赤ちゃんのうちから強い日焼けをしすぎないよう注意することは、生涯健康で過ごすためにとても大切」と同学会は述べています。
また、日本皮膚科学会(皮膚科Q&A)でも「小児期から無用な紫外線曝露を避ける生活態度が望まれる」と明記されています(dermatol.or.jp)。
「過剰な紫外線防御」も避けるべき
一方、日本小児皮膚科学会は「過剰な紫外線防御はお子さんの成長の妨げになることがある」とも指摘しています。紫外線にはビタミンD産生を介した骨の健全な発育への貢献が知られており、適切な量の日光浴と、必要な場面での紫外線対策を組み合わせるバランスが重要です。※ビタミンD産生には日光曝露が関与しますが、必要量や適切な曝露時間には個人差があります。
⚠️ 薬剤師からひとこと
曇りの日でも紫外線は晴れの日の約60%、雨の日でも約30%が地表に届きます(環境省「紫外線環境保健マニュアル」2020年改訂版)。天気だけで判断せず、外出時間と活動強度に合わせたケアを習慣にしましょう。
年齢別スキンケアと日焼け止めの選び方

🍼 0〜6ヵ月(乳児期前期)

スキンケアの基本
この時期は皮膚が特に薄く敏感です。洗浄は低刺激・無香料の新生児用ソープを使い、入浴後は早めに保湿剤を塗布します。保湿成分としてはワセリン(白色ワセリン)や、セラミド配合のベビーローションが適しています。
紫外線対策
日焼け止め製品よりも物理的な遮光(日陰・帽子・薄手の長袖)を優先します。外出は紫外線の強い10〜14時を避けることが望ましいとされています。日焼け止めを使う場合は、生後0ヵ月から使用可能と記載されたベビー用、紫外線散乱剤(酸化チタン・酸化亜鉛)主体の日焼け止め(いわゆる“ノンケミカル”製品)を選びましょう。
✅ 製品選びのポイント
- 無香料・無着色・パラベン(刺激となる可能性あり)フリー表示を確認
- 紫外線散乱剤(酸化亜鉛・酸化チタン)主体のノンケミカル製品
- 石けんやぬるま湯で落とせるもの
- 「アレルギーテスト済」「パッチテスト済」表示があるとなお安心
※ すべての人にアレルギーが起きないことを保証するものではありません
👶 6ヵ月〜3歳(乳児後期〜幼児期)

スキンケアの基本
はいはいや外遊びが増えるこの時期は、汗・摩擦・よだれによる肌荒れが起きやすくなります。洗浄後の保湿を日課にし、肌荒れが見られる部位には保湿剤をこまめに塗布します。アトピー性皮膚炎の家族歴がある場合は、かかりつけ医に早めに相談しましょう。
日焼け止めの目安
日常のお散歩・保育園ではSPF15〜20、PA++ の製品。
一般的な目安として、公園遊びなど短〜中時間の屋外活動ではSPF20〜30程度の製品を2〜3時間ごとに塗り直し。
水遊び・プールの場合はSPF30〜40、PA+++ 耐水性(UV耐水性★〜★★)表示品を選ぶ。
※ SPF・PA目安は日本小児皮膚科学会「こどもの紫外線対策について」(jspd.umin.jp)を参考に記載しています。個別の肌状態によって適切な製品は異なります。
🧒 3歳〜小学生(幼児期〜学童期)
スキンケアの基本
外遊びや水泳・運動などで汗・紫外線曝露が増える時期です。洗浄・保湿の2ステップを朝晩の習慣にします。乾燥しやすい季節(秋冬)はセラミド配合の保湿剤を活用します。
日焼け止めの正しい塗り方
1.保湿を先に行う
セラミド配合の保湿剤で肌のバリアを整えてから日焼け止めを重ねると密着性が高まります。
2.適切な量を均一に塗布する
SPF・PA値は「1cm²あたり2mg」の塗布量を前提に測定されています。少なすぎると表示値の防御効果が得られません。顔全体では約1gが目安となります。
3.塗り忘れ部位を確認する
耳の裏・首の後ろ・手の甲・足の甲は忘れやすい部位です。
4.2〜3時間ごとに塗り直す
汗・摩擦で落ちるため、こまめな塗り直しが必要です。ミストタイプは外出先での塗り直しに便利です。ただし、ミストタイプを使用する場合は顔へ直接噴霧せず、一度手に取ってから塗布すると安全です。
5.帰宅後は石けんでやさしく落とす
落とし残しは肌荒れの原因になります。ゴシゴシこすらず、泡でなでるように洗いましょう。その後は、忘れずにしっかりと保湿をしてください。
ノンケミカルのベビー・キッズ用日焼け止めとして、無香料・無着色・石けんで落とせる低刺激な製品を選びましょう。
子ども用製品を選ぶときの「成分チェックリスト」

「ベビー用」「子ども用」と書かれていても、成分は製品によってさまざまです。購入前に全成分表示(パッケージ裏面または製品の公式サイト)で以下を確認しましょう。
✅ 含まれているとよい成分・表示
- 紫外線散乱剤:酸化亜鉛(Zinc Oxide)、酸化チタン(Titanium Dioxide)
- 保湿成分:セラミド各種、グリセリン、ヒアルロン酸Na、スクワラン
- 無香料・無着色の明示
- アレルギーテスト済・パッチテスト済の表示
- 使用対象月齢・年齢の明示
🚫 子どもの肌への刺激リスクとして知られる成分
- 高濃度アルコール(エタノール):皮膚バリアが未熟な子どもには乾燥・刺激の原因になる場合があります
- 合成香料・着色料:アレルギー反応のリスクとなりうるため、敏感肌の子どもには不要です
- 高濃度の紫外線吸収剤(ケミカル成分):一部の紫外線吸収剤では、肌質によって刺激感が出る場合があり、月齢の低い乳児には特に注意が必要です
※ 「避けるべき成分」は個人の肌状態・アレルギー歴によって異なります。不明な点はかかりつけ医・薬剤師にご相談ください。
スキンケア製品の参考までに👇
日焼け止めの参考までに👇
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⚠️ パッチテストのすすめ
新しい製品を使い始める前は、腕の内側など皮膚の目立たない部分に少量を塗布し、24〜48時間後に赤み・かゆみ・腫れが出ないことを確認してから使用してください。
日焼け止め以外の紫外線対策:日常生活でできること
時間帯の工夫
紫外線が最も強い午前10時〜午後2時の長時間屋外活動を避けることが、日本小児皮膚科学会が推奨する基本対策です。
帽子
つばが全周にある広いつばの帽子(つば幅7cm以上が目安)により、顔・首・耳を同時にカバーします。
衣類
薄手の長袖・長ズボン、UVカット加工の衣類を着用すること、プールや水遊びではラッシュガードが特に有効です。
日陰の活用
木陰・建物の陰・パラソル・テントの下での活動ができるよう意識しましょう。先ほども触れましたが、曇りでも紫外線は晴れの日の約65%が届くとされています。
💡 「曇りだから大丈夫」は誤解
環境省「紫外線環境保健マニュアル(2020年改訂版)」によると、曇りの日は晴れの日の約60%、雨の日でも約30%の紫外線が地表に到達します。また、紫外線は壁や地面からの反射もあるため、日陰にいても完全に避けることはできません。天候に関わらず、外出時の対策を習慣にすることが重要です。
子どもが日焼けしてしまったときの対処法
子どもは大人より皮膚が薄いため、同じ紫外線曝露でも炎症が強く出る場合があります。日焼け(サンバーン)への対応はやけどに準じたケアが基本です。
1.すぐに日陰へ移動し、衣服で覆う
さらなる紫外線曝露を防ぐことが最優先です。
2.流水またはぬれタオルで患部を冷やす
10〜15分程度を目安に冷却します。保冷剤を使う場合は必ずタオルで包んでください。氷を直接あてることは凍傷リスクがあるためNGです。
3.熱が引いたら低刺激の保湿剤でケア
アロエエキス・グリセリン・セラミド配合の低刺激保湿剤を優しく塗布します。こすらずそっとのばすことが重要です。
4.水分補給を忘れずに
日焼けによる体液の蒸散を補うため、こまめに水分を与えましょう。
🚫 子どもの日焼け後NG行動
- 皮(水疱・表皮)を無理に剥がす → 感染・色素沈着リスク
- タオルでこする → バリア破壊
- アルコール高配合製品を使う → 炎症を悪化させる可能性
- 長時間のシートマスク → 気化熱で逆に乾燥する
⚠️ 小児科・皮膚科への受診目安
以下の症状がある場合は自己判断せず、速やかに医療機関を受診してください。
- 水疱(水ぶくれ)が広範囲に形成されている
- 38℃以上の発熱、嘔吐、頭痛などの全身症状
- 顔面全体の高度な腫脹・紅斑
- 乳幼児(特に1歳未満)で広範囲の日焼けがある場合
日焼け後の敏感になった子どもの肌にも使いやすい【ベビー・キッズ向け】のアフターケア保湿アイテムとしては低刺激でセラミド配合の製品がおすすめです。
まとめ:今日から実践できる子どものスキンケア3原則
📝 薬剤師がまとめる3原則
- 洗浄+保湿を毎日の習慣に— 低刺激ソープで清潔を保ち、入浴後は早めにセラミド・グリセリン配合の保湿剤を塗る
- 外出時は日焼け止め+物理的遮光の組み合わせを— ノンケミカル製品を適切な量で使い、帽子・衣類でも補う
- 製品選びは必ず全成分表示を確認する — 「子ども用」の表記だけで判断せず、香料・着色料・刺激成分が入っていないかをチェック
さいごに
本記事は一般的な知識の提供を目的としており、特定の医薬品・医療機器の効能効果を標榜するものではありません。化粧品・医薬部外品に関する記述は薬機法第66〜68条および景表法に基づく表現管理のもとで作成しています。乳幼児・小児のスキンケアに関する個別の判断(アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患を含む)は、必ずかかりつけの小児科医・皮膚科医または薬剤師にご相談ください。本記事の情報は作成時点のものであり、最新の研究・法令改正により変更される場合があります。
参考文献・情報源
- Yuan C, et al. Properties of Skin in Chinese Infants: Developmental Changes in Ceramides and in Protein Secondary Structure of the Stratum Corneum. Dermatology Research and Practice. 2017;2017:3594629. (PMC5643035)
- Fluhr JW, et al. Functional skin adaptation in infancy – almost complete but not fully competent. Experimental Dermatology. 2010;19(6):483-492.
- 日本小児皮膚科学会「こどもの紫外線対策について」(公式Q&A)jspd.umin.jp/qa/03_uv.html
- 日本皮膚科学会「光線(日焼け)Q10」qa.dermatol.or.jp/qa2/q10.html
- 環境省「紫外線環境保健マニュアル 2020年改訂版」env.go.jp/content/900410650.pdf
- 東京都健康安全研究センター「上手に選ぼう 日焼け止め化粧品」


