【薬剤師視点でみる】子育てにおいても味方になる!モバイルバッテリーの注意点

子育て

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スマートフォンでの授乳記録、外出先での急な充電切れ、ベビーカーに取り付けた小型扇風機など、子育て中の生活では「電源」が必要になる場面が少なくありません。

モバイルバッテリーはこうした場面でとても便利な製品ですが、リチウムイオン電池を内蔵しているため、強い衝撃や圧力、高温、破損などをきっかけに発熱・発火する事故が起こることがあります。

本記事では、薬剤師として安全管理に携わってきた経験も踏まえつつ、経済産業省、消費者庁、製品評価技術基盤機構(NITE)などの公的情報をもとに、子育て世帯がモバイルバッテリーを使用するときに知っておきたいポイントを整理します。

モバイルバッテリーが子育ての心強い味方になる理由

乳幼児連れの外出時などには、以下のような場面でモバイルバッテリーが役立ちます。

  • 連絡手段の確保:緊急時に備えてスマートフォンのバッテリー残量を確保する
  • 授乳・搾乳関連機器への給電:外出先で電動搾乳機などを使用する場合の補助電源として。ただし、機器の取扱説明書で対応する電源・出力条件を必ず確認する
  • ベビーカー用小型ファンなどへの給電:充電式の暑さ対策用品などに使用する
  • 動画・音楽の再生:長時間の移動や待ち時間などにスマートフォンを使用する

子どもと一緒に使用する場合には、一般的なモバイルバッテリーの安全対策に加えて、ベビーカーや車内、寝具周辺など特有の環境にも注意が必要です。

使用前に確認したい安全ポイント:PSEマーク

モバイルバッテリーは2018年2月1日付の通達改正によって電気用品安全法の規制対象となりました。1年間の経過措置を経て、2019年2月1日以降は、PSEマークのないモバイルバッテリーを販売することができません。モバイルバッテリーは「特定電気用品以外の電気用品」に分類されるため、表示されるのは丸形のPSEマークです。

購入時には、本体などに丸形PSEマーク、届出事業者名、定格電圧、定格容量などの必要な表示があるか確認しましょう。インターネット通販やフリマアプリなどで購入する場合も、製品の表示や販売事業者の情報を確認することが大切です。

PSEマークは「国が個々の製品を検査して安全性を認証した」という意味ではありません。電気用品安全法では、製造・輸入事業者に技術基準への適合確認や所定の検査などを義務付け、その義務を履行した事業者がPSEマークを表示する仕組みになっています。

子育てシーンで特に注意したい3つのポイント

①高温環境での発熱・発火

リチウムイオン電池は、高温や強い衝撃などによって損傷すると、発熱・発火につながることがあります。

特に注意したいのが自動車内への放置です。NITEは、車内に置かれていたモバイルバッテリーから出火した事故を紹介しており、直射日光が当たるダッシュボード上では、JAFの試験で70℃を超える温度が確認されています。

ベビーカーの日よけの内側や座面下収納なども、直射日光や外気温の影響によって高温になることがあります。モバイルバッテリーは車内や直射日光の当たる場所に放置せず、製品の取扱説明書に記載された使用・保管条件にも従いましょう。

②充電中の「ながら使用」・就寝時の充電

消費者庁はリチウムイオン電池使用製品について、強い衝撃や圧力を加えないこと、高温になる場所で使用・保管しないこと、充電は安全な場所でなるべく起きている時に行うことなどを呼びかけています。

布団やクッションの中など、熱がこもりやすい場所での充電は避けましょう。乳幼児と添い寝する際にも、モバイルバッテリーを寝具の中や子どもの身体の下に置くような使い方は避けてください。

③ケーブルによる引っ掛け・巻き付き・落下

子どもがいる家庭ではモバイルバッテリー本体だけでなく、接続するケーブルの取り回しにも注意が必要です。

乳幼児の手が届く場所にケーブルを長く垂らすと、引っ張られてモバイルバッテリーが落下したり、ケーブルが身体に絡まったりする可能性があります。ベビーベッドやベビーカー周辺ではケーブルをできるだけ短くまとめ、子どもの手が届かない位置に配置しましょう。

ワイヤレス充電対応製品は、スマートフォン側のケーブルを減らせるという利点があります。ただし、ワイヤレス充電でも発熱などのリスクがなくなるわけではありません。メーカーの使用方法に従い、充電中の異常にも注意してください。

💡 コラム:ボタン電池との違いを理解する

子どもの電池事故として特に注意が必要なのが、ボタン電池やコイン形リチウム電池の誤飲です。日本中毒情報センターによると、誤飲事故は6か月~2歳に多く、電池が食道などに留まって電流が流れることで周囲の組織を損傷し、重症化する危険があります。

モバイルバッテリーとボタン電池は、どちらも電池を使用する製品ですが、事故の態様は異なります。モバイルバッテリーでは主に高温、強い衝撃や圧力、破損などに伴う発熱・発火に注意が必要です。一方、ボタン電池では、乳幼児による誤飲そのものが重大なリスクになります。

いずれも子どもの手の届かない場所で管理することが基本です。

安全に使うための実践チェックリスト

  • ☐ 丸形PSEマーク、届出事業者名などの表示を確認して購入する
  • ☐ 購入前にメーカー・販売事業者、製品情報、リコール情報を確認する
  • ☐ 落下や強い衝撃、水濡れなどがあった製品は使用を続けない
  • ☐ 本体の膨張、異常な発熱、異臭などの異常がある場合は使用を中止する
  • ☐ 車内や直射日光の当たる場所など、高温になる環境に放置しない
  • ☐ 布団やクッションなど、熱がこもりやすい場所で充電しない
  • ☐ 充電は安全な場所で、なるべく製品の状態を確認できる時間帯に行う
  • ☐ 充電ケーブルを乳幼児の手の届く範囲に長く垂らさない
  • ☐ 不要になった製品は家庭ごみに混ぜず、自治体・メーカーなどの指示に従って処分する
  • ☐ JBRCの回収を利用する場合は、回収対象製品・協力店などの条件を確認する
  • ☐ 膨張・破損・水濡れしたバッテリーは、通常の回収ボックスに自己判断で入れない
  • ☐ 発煙・発火した場合は、まず子どもを含め周囲の人の安全を確保する

子育て世帯向けモバイルバッテリーの選び方

子育て世帯がモバイルバッテリーを選ぶときは、単純に容量や価格だけで判断するのではなく、安全性、携帯性、用途との適合性を総合的に確認しましょう。

  • 丸形PSEマークの有無を確認する:日本国内で販売されるモバイルバッテリーに必須の丸形PSEマークが表示されているか確認する
  • 製品情報が明確なものを選ぶ:メーカー名・販売事業者・仕様・問い合わせ先などが確認できる製品を選ぶ
  • リコール情報を確認する:購入前だけでなく、使用中の製品についてもリコール対象でないか確認する
  • 容量と重量のバランスを見る:外出時に持ち歩くなら、必要な容量と本体重量のバランスを考慮する
  • 使用する機器との互換性を確認する:スマートフォンや搾乳機、小型扇風機など、使用する機器が必要とする出力・充電方式に対応しているか確認する
  • 取扱説明書に従う:使用温度、充電方法、対応する充電器など、メーカーの指定を厳守する

「大手メーカーだから絶対に安全」と考えるのではなく、メーカーや販売事業者の情報、製品仕様、リコール情報などを自ら確認して選ぶことが重要です。

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万が一、事故が起きてしまったら

モバイルバッテリーから発煙・発火した場合は、まず子どもを含め周囲の人の安全を確保してください。安全に処置できる場合には大量の水による消火が案内されていますが、危険を感じる場合は無理に近づいたり消火しようとしたりせず、すぐに避難して消防機関へ通報してください。

やけどを負った場合は、まずすぐに流水で冷やしてください。乳幼児のやけど、顔や関節など重要な部位のやけど、広範囲のやけど、水疱を伴うやけどなどは、速やかに医療機関への相談・受診を検討してください。

ボタン電池などを誤飲した可能性がある場合は、症状がなくても様子を見ず、直ちに医療機関や日本中毒情報センターなどへ相談してください。

医療に関する注意事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の症状の診断や治療方針を示すものではありません。事故ややけどが発生した場合、特に乳幼児について不安がある場合は、専門の医療機関などへご相談ください。

まとめ

モバイルバッテリーは、子育て中の外出や緊急時のスマートフォン利用を支えてくれる大変便利な製品です。一方で、リチウムイオン電池を使用しているため、高温、強い衝撃や圧力、破損などによって発熱・発火するリスクがあることも忘れてはいけません。

購入時には丸形PSEマークなどの表示だけでなく、メーカー・販売事業者の情報やリコール情報も必ず確認しましょう。使用時は車内や直射日光の当たる場所を避け、異常を感じたらすぐに使用を中止してください。不要になった製品は家庭ごみに混ぜず、自治体やメーカーなどの案内に従って適切に処分することが重要です。

子どもがいる家庭では、モバイルバッテリー本体だけでなく、充電ケーブルの取り回しや保管場所にも目を向けることが大切です。便利さと安全性の両方をしっかり意識して活用しましょう。

参考文献・出典

  1. 消費者庁「リチウムイオン電池使用製品による発火事故に注意しましょう」
    消費者庁
  2. 経済産業省「モバイルバッテリーに関するFAQ-電気用品安全法」
    経済産業省
  3. 経済産業省「モバイルバッテリーについて-電気用品安全法」
    経済産業省
  4. 製品評価技術基盤機構(NITE)「製品安全情報マガジン Vol.457『夏に気を付けていただきたい製品事故3選』」
    NITE
  5. 製品評価技術基盤機構(NITE)「『夏バテ(夏のバッテリー)』にご注意を-『リチウムイオン電池搭載製品』は3つのCで事故を防ぎましょう!-」
    NITE
  6. 一般社団法人JBRC「排出方法(回収対象、対象外説明)」
    JBRC
  7. 一般社団法人JBRC「協力店・協力自治体検索」
    JBRC
  8. 公益財団法人日本中毒情報センター「ボタン電池(ボタン形電池、コイン形リチウム電池)による小児の事故」
    日本中毒情報センター

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