薬を処方された際の用法について言葉の細かい意味をご存知でしょうか?
食後と食直後の違いは?食間って具体的にどのくらいの時間のこと?そんな疑問を抱いたことはあるでしょうか。
もしかしたら疑問にも思っていないかもしれません。そんな方でも指示の意味やその指示になっている理由を知っておくことで薬の効果を十分に発揮できたり、安全に飲める方法に辿り着けるかもしれません。
飲み薬の用法に使われる言葉の意味について薬剤師の視点で解説していきたいと思います。
※薬物治療における最終的な決定は自己判断だけで行わず、医師または薬剤師などの医療従事者と相談しながら進めるようにしてください
用法に使用される言葉とその意味
飲み薬の用法に使われる言葉は1日の回数とそのタイミングで構成されています。その組み合わせは多岐に渡ります。
タイミングについて使われる言葉についてみていきたいと思います。
食事に関連づけられている言葉
食事に関連する言葉として食後、食直後、食前、食直前、食間があります。
食後とは食事の後20〜30以内を示します。処方される薬の指示として最も多いと考えられます。例えば一部の痛み止めは食後に飲むことが望ましいとされています。
食直後とは食事が終わって5分以内という意味になります。例えば一部の高脂血症治療薬が食直後に飲むことが望ましいとされています。
食前は食事の約30分前程度のことを指しています。吐き気止めや漢方薬が食前の指示になることが多いです。
食直前は食事の5分以内が目安となります。10分以内も許容とされることがあります。食後の血糖上昇を抑える目的の薬がこの指示で処方されます。
食間は食事と食事の間のことを指し、実務的には食事の後2時間時間経過した時点が一つの目安とされています。例として漢方薬にこの指示が選択されることがあります。食間に似た用法として空腹時があります。空腹時は飲んだ時だけ空腹であっても意味がない可能性があるので、空腹時とだけ指示されている場合は前後の食事をどの程度控えればいいのかを医師や薬剤師に確認しておくと安心です。
例えば1日3回との組み合わせのとき、普段の生活で1日2食であったり、夜間に仕事をしていたりする場合など、自身の生活リズムと指示された用法が合致しない場合があるかもしれません。そのような場合は躊躇なく相談をするようにしてください。
食事以外の生活リズムに関わる言葉
これに当たるのは起床時や寝る前になります。
起床時は言葉通り、起きてすぐのことを指します。とはいえ1分1秒を争うわけではありません。起きてから最初に摂取することを意味します。ただし、起床時に設定されている薬は飲んだ後、30分以上水以外の飲食物や薬の摂取をしないことが想定されていることが多いため、逆算して飲む時間を設定する必要があります。
寝る前は寝るおよそ30分前のことを指します。睡眠を補助する薬などが寝る前に飲むよう指示されます。あとは布団に入って寝るだけの状態で飲むという考えでいいでしょう。
頓服について
頓服とは「症状が出たとき」や「症状が強いとき」だけに飲むという指示です。具体的な症状が示され、例えば「疼痛時」や「便秘時」という指示で処方されます。
頓服については1日に決まった回数が指示されていない場合もあるので、「間隔はどの程度空けたらいいのか?」であったり、「1日何回まで飲んでいいのか?」という疑問については薬をもらう前に確認しておくといいでしょう。

薬の用法はどうやって決まる?
薬の用法は薬を開発する段階で設定されます。その薬を開発する目的、期待する効果、効果の持続時間や発現時間、安全性などを加味して回数やタイミングを設定した上で試験を行い、最終的に正式な決定していきます。
食後や食前、起床時など飲むタイミングを明確に決められているものもあれば、1日に飲む回数だけ示されているものがあります。
明確に決められているものでは、薬の効果を十分に発揮するためであったり、薬の副作用を予防•軽減する目的である場合もあります。
明確に決められているものであっても、効果や副作用という面では大きな差がなく、臨床試験の条件を踏襲という理由などで決められているものもあります。
また、1日の回数だけが決められている薬でも1日のどこで飲むのかを医師から指示されていなければ、困ってしまう可能性が高いため、基本的に医師は薬を処方する際に飲むタイミングも指示します。
様々な理由で薬を処方される際に用法が指示されるため、実際に処方箋で指示された用法の変更が可能なものもあれば適さないものもあります。
薬を出された時点で飲むことが難しそうな用法がある場合、飲み続けていく中で飲み忘れや誤りが多くなってしまう場合には自己判断で飲み方を変更するのではなく、医師や薬剤師に相談するようにしてください。
用法の変更は可能?
せっかく自身に適した薬が処方されても用法通りに飲めない場合ということもあるかもしれません。薬を飲むタイミングを変えると薬が体に入る量や速度が変わったり、出ていく量や速度にも影響が出ることがあります。その結果として薬の効果を得られるどころか副作用のリスクが上がってしまう可能性があるのです。
特に長期的に薬を飲む場合、実際に続けることができる用法でなければ、薬を飲むことの十分な恩恵を受けられない可能性があるということです。
実際には薬を飲むこと以外にも生活していく上でやることは多く、その内容は各個人で異なります。その中で薬を飲む行為は忘れてしまったり、現実的に難しいこともあるでしょう。そのような場合、続けることができる用法への変更することを検討する必要があります。
変更が可能なケース
1日に飲む回数は決まっているけれど、薬として明確なタイミングが決まっていない場合、医師の裁量で用法の変更は可能となります。
明確なタイミングが決まっている薬でもその影響が大きくなく、飲み忘れることの方がリスクと考えられる場合も医師の裁量で変更される場合があります。ただし、この場合は保険の適応から外れる可能性があるため注意が必要です。
変更が適さないケース
用法変更による影響が許容できないと判断される場合は適しません。その結果として効果が落ちたり、例えば、効果の出るタイミングに影響が出る可能性や副作用のリスクが上がる可能性があります。
そのような場合、用法の変更は難しいですが同じような効果が期待できる薬で適切に飲めそうな用法が選択できそうなものがあれば、薬の変更という選択肢が出てきます。
変更できそうな薬もない場合、調剤方法や管理方法の工夫なども有用な手段となりえます。
自己判断による変更は厳禁
いずれのケースでも医師または薬剤師への相談は行うことが重要です。自己判断での変更していた場合、効果や安全性に影響が出る可能性があるばかりか、治療内容の評価にすら影響が出ることもあります。
最終的な用法変更の決定は医師が行いますが、薬の特性を理解している薬剤師に先に相談することも有用です。
継続可能な自身に合った薬物治療内容を医師、薬剤師などと共同で作り上げていくことが大切です。
用法を守って飲むということ
用法通りに薬を飲むということは薬の効果を味方につけ、リスクを最大限に下げることです。
実際の指示通りに飲むことが難しい場合には自身に合った飲み方にカスタマイズできるかを医師や薬剤師に相談することで、実現可能な範囲での薬のベストパフォーマンスを引き出すことができるのです。
さいごに
本記事は、一般的な医療・薬学情報の提供を目的としています。
実際の治療や服薬については、必ず医師または薬剤師にご相談ください。



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